演目みどころ⑨|ユンタ

「ユンタ」とは「ユンタ・ジラバ・アヨー」と呼ばれる八重山の古謡の中の1つ。
三線等の楽器を使用せず、田園での田草取りや畑の収穫の際に集団によって歌われたり、また、脱穀のための米搗きや建築時の地搗きなどに、円陣を組んで男女等に分かれ交互に歌い合間には囃子を入れて歌われる労働歌である。
島々から伝わった物語のストーリーなどを、問答のように交互に歌う中で、互いにコーラスになったり、重なり合うなかでハーモニーになったりするところに特長があると言える叙事的歌謡だ。
「ユンタ」の語源は、「読み歌」が転訛したという説や「結い歌」が転訛したという説がある。八重山の「ユングトゥ」と呼ばれる歌謡の語源に「読み事」があることを考えると、個人的には「読み歌」が有力だと思っている。しかし、琉芸文の「ユンタ」は敢えて「結い歌」の「ユンタ」であると言いたい。これまで琉芸文は、ネイティブユンターである狩俣名誉教授から口承して頂いた「ユンタ」等も含め、様々な「ユンタ」を歌ってきた。その中でも一番多く歌われてきたのが「安里屋ユンタ」と「コイナユンタ」だ。「ユンタ」は集団歌謡だ。そしてコールアンドレスポンスだ。気持ちを1つに合わせなければならない。琉芸文で言う「肝揃て」だ。このコロナ禍の中で一番注意しなければならない「三密」「大声」が毛遊びでの「ユンタ」の真骨頂だ。それ故今年の「ユンタ」の稽古は、不織布マスク・小声・ソーシャルディスタンスで、真骨頂を抑え込みながらの稽古が続いた。やっと許された本気の稽古は約3回。音程、リズム、歌詞、発音、スピード、雰囲気。全てを集約した熱い熱い3回の稽古では、同じ部分、同じ内容を、何度も何度も、繰り返し繰り返し稽古した。第一声を出すニードゥイに合わせるため。みんなの声を合わせるため。でも、やっぱりもっと稽古したかった。大きな声で。皆と。もっと沢山。もっともっと沢山。そんな気持ちや心が1つになった「肝揃て」の今年度の「ユンタ」は間違えなく「結い歌」だと思っている。

琉球芸能文学研究会'24

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